オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
「……アイツ、本当に何も言わねぇでいなくなったんだよ」
机に肘をついて頬杖つぶやくように、藤岡くんが言う。
「突然俺ン家来て『チーム抜ける。後はよろしく』とだけ言って。
俺は何か裏切られた気がして、キレて。殴って理由問いただしてもアイツは何も言わなかった」
頭のなかに藤岡くんのあの言葉が浮かぶ。
――「親友だと、思ってた」。
藤岡くんは篁くんのことを本当に大切な友達だと思ってたんだ。
「ま、それが……“あの時”だろ。
その次の日アイツは転校したし、それ以降連絡もとれなくなったから」
話は終わりだ、というふうに息をついて、あたしに視線を向ける藤岡くん。
でもなぜか、その顔はぼやけてて。
「……オマエ最近泣きすぎ」
そう言われて、涙をぬぐわれて、自分が泣いてるんだって理解した。