オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
「……つか、俺を殴る理由あんのか? オマエ」
「ある。充分すぎるほどある」
「言ってみろよ」
薄い唇からため息ついてガシャン、と頭をフェンスにあずけた。
見下ろされて、なんかムカつく。
「……」
ていうか、言っていいのか?
理由を話すってことは、つまり絢のいたいけな恋心をコイツにバラすってことだろ。
それを友達であるあたしがするのはいただけないよな。
でも殴りてえ。
「……とりあえず殴らせろコラッ」
「何でそうなんだよ凶暴な女だな」
「なんだとテメェ!!」
あたしはその言葉に頭カチンときて、藤岡の襟元につかみかかった。
だけど。
その瞬間、後ろでパンッパンッと手叩きの音が2回。
「あぁ?」
怒りのおさまらないまま振り返ると……
「はいはいはーい。そこまでー」
ニコニコと胡散臭い笑顔の茶髪が立っていた。