オオカミいっぴき。~クールな不良と甘々❤ラブ!~
「っ……ギャアアァァッ!!?」
「えーなんで逃げるの?
まあ俺、逃げられたら逃げられただけ燃えるんだけどさー」
手をにぎられて、気持ち悪さが頂点に達して、助けを求めて藤岡にしがみつく。
すると茶髪……羽鳥右京は、とたんに無表情になった。
「ちょっと、翼ちゃんに触んないでよ」
「……俺は関係ねぇ」
「関係ねぇとか言ってねえで助けろよ藤岡ッ!!」
「無理」
何でだよ!!
オマエ殴り合いなら誰にも負けないぜ的な人種だろうがよ!!
「こいつ俺より強い。つか俺に喧嘩教え込んだのコイツ」
そう言って目の前の羽鳥右京を指差す藤岡。
驚き通り越して乾いた笑いが出てきたあたしは、羽鳥右京に視線を向けた。
目が合うと茶色がちな瞳が細まって、にこ、と人畜無害そうな笑みをつくる。
「これからよろしくねー翼ちゃん」
そうして頭を撫でられて吐き気を催したあたしは、
とりあえず何も考えずに目の前の男の腹を蹴っておいた。