掻きむしり
その声でバスは止まった。
視線の全ては俺に集まった。射殺す様な、怯えた視線が…。
しかしその時、もう一人の男がポリポリと顔を掻きむしり始めた。その行為がバスを一瞬で叫びに染めた!

その光景を見て俺は本能的に窓ガラスを破り逃げ出した。
俺は本当に現実か確認する為にふとバスの方を振り向いた。
そこにはバスの中はうめき声と共に血が飛び散った。
そして、一瞬だが鮮明にあの男の顔がグチャグチャになっているのが見えた。
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