蝉時雨【短編】

隣で下敷きをバタバタやられ、蝉はうるさい。

おまけに連日四十度をこえる猛暑の中、クーラーのない教室に閉じ込められる。

窓を閉めれば熱中症になりかけ、
窓を開ければ虫に邪魔され、蝉はうるさいさらにうるさくなる。

「なんで皆は休みなんだー」

イライラしてシャーペンを先生に投げつけると、

隣の彼も、そうだー、と手にしている下敷きを手裏剣みたく投げた。
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