蝉時雨【短編】
「お前らが勉強しないからだ」
先生は私達の攻撃をものともせず、右手でシャーペンをキャッチし、左に持っていた教科書で下敷きをはたき落とす。
何事もなかったかのようにそれぞれの持ち主に武器を返した。
「ぬー、小癪な」
私が呟くと、隣の彼も
「全くでございますな」
と相槌。
「悪代官ごっこはほかでやれ。
今は数学の時間だ」
呆れ顔の先生。
「いいか、言っとくけど、終わるまで帰さないからな」
悪魔の一言。