蝉時雨【短編】

不思議に思って顔を上げる。

机につっぷした先生。

横を見れば、下敷きパタパタしたままニヤリと笑う相棒。

「寝ましたぜ、逃げましょう、兄貴」

「おうよ」

音をたてないように立ち上がり、教室の出入り口に向かう。

忍び足。

そろりと教室を出て、廊下を進む。

ある程度まで教室から離れると、どちらからともなく走り出す。
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