moon -不良-



「俺はこれから 渡部の所へ行く」




さっきの切なげな瞳とはまるで別人のような
顔付きをした渚に



勇志はゴクリと
つばをのんだ。



「何しに行くんだ?」


緊張感を出した勇志に
渚は少しの間をあけて




「来月を.渡部の引退式にしてやるよ」



そう静かに言い
バイクで走り出した。


「まぢかよ...渚...」



去っていく渚の背中に

勇志の独り言だけを
残して。




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