moon -不良-
砂ぼこりと一緒に
鈍い音や血の臭い
ただ
ひたすら殴り合う。
その闘いは、
3時間も繰り広げ
られた。
「ー…ハァ..ハァ」
息を切らして
真っ赤に染まった
拳を握り締めて
立っているのは、
渚。
「渡部.. てめぇの負けだ。」
渚の前では
白い特効服が
赤く染まった姿の渡部
「そうみたいだな…」
今まで強気で立っていた渡部は
ドサッと地面に座った
「てめぇが強くても、周りがザコじゃ しゃーねぇ」
そう言った渚は
頬に付いた返り血を
服の袖でこすり
渡部に背中を向けて
歩きだした。