moon -不良-



砂ぼこりと一緒に

鈍い音や血の臭い



ただ



ひたすら殴り合う。




その闘いは、
3時間も繰り広げ
られた。




「ー…ハァ..ハァ」



息を切らして
真っ赤に染まった
拳を握り締めて
立っているのは、



渚。




「渡部.. てめぇの負けだ。」



渚の前では


白い特効服が
赤く染まった姿の渡部



「そうみたいだな…」



今まで強気で立っていた渡部は


ドサッと地面に座った



「てめぇが強くても、周りがザコじゃ しゃーねぇ」



そう言った渚は

頬に付いた返り血を
服の袖でこすり



渡部に背中を向けて
歩きだした。



< 266 / 309 >

この作品をシェア

pagetop