トップ★シークレット〜あたしの彼氏は芸能人〜

集合住宅の前にある、

小さな公園のベンチ。





あたしたちは

少し距離を空けて座った―…。




その距離が

なんだか今のあたしたちの距離を現しているような、そんな気がして…

少し、寂しい気持ちになる…。




だけど、次の瞬間――…



夏の夜風に乗って

ふんわりと漂ってくる、
優の香りによって


そんな寂しさは

一瞬にして吹き飛んでいく―…。




『…この香り…』


あたしはハッとして、優を見上げる―…。



「…どした?」

と、首を傾げている優。



この香りは――…



「…今でも、

その香水…使ってくれてたんだ?」


驚きと嬉しさが、一気に込み上げてくる。




「え…?

あぁ、ずっとこればっか付けてたから…

これがもう、自分の香りって感じで、定着してるっていうか…」


優はあたしから視線をそらし、少し慌てている。




「…そうなんだ」


その香水は…

甘さと爽やかさが絶妙にマッチしていて。

優のイメージにぴったりだと思って、ふたりで過ごす初めてのクリスマスに。

あたしが優に
プレゼントした香水だった…。



それを

今でも"自分の香り"として

ずっと愛用してくれていたなんて―…




嬉しすぎるよ―…優…。






この香りによって



あの頃の想い出も

優への想いも


一気に溢れ出していく――…。


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