スタンド・アローン
 笑いすぎて涙が出たのか、神逆は目尻を拭いながら言う。

「あ、急がないと、遅れますよ」

 そうだった。

 俺は一息に階段を駆け上がる。

「ほれ、はよせんとマジで遅刻すんで」

 振り向いて声をかけると、

「ああ。そうだな」

 相変わらず間伸びした口調で答え、レオも階段を上ってくる。

「あ…あの…」

 おずおずと雪風が歩み寄ってくる。

「お兄さま、先程は失礼しました。助けていただいてありがとうございます」

 またえらく大人しい。

 俺は雪風の頭を撫でてやる。

「怪我、なかったか」

 声をかけると、雪風は照れたように笑う。

「は、はい。申し遅れましたが、1年の雪風水月です。どうぞお見知りおきください」

「みずき、か。いい名前だな。中嶋津也だ。よろしくな」
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