スタンド・アローン
 シオン…

 はて…

 聞き覚えはある。

 絶対知ってる名前なんだけど…

 ぜんっぜん思い出せないんだよな。

「ちょっと、横向きで上向いてみて」

 思い出そうとしつつ、ポーズの注文をつける。

「こう…ですか?」

 その仕草が、俺の記憶に訴えかけてくる。

 間違いない。

 絶対、シオンとは面識があるはず。

 それも、かなり最近に会ってるはずだ。

 なのに、なぜ全く思い出せないんだろう?

 思い出せない…

 思い出したくない?

 そう思った時、ふとシオンがペンダントを握った。

 俺の脳髄に衝撃が走った。

 思わず、鉛筆を取り落としそうになる。

 そうか。

 シオンは、あいつだったんだ。
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