スタンド・アローン
 間近で見ても華奢な印象を受けるが、シオンの体躯は鍛え研きあげられた筋肉の塊。

 だからだろうか。

 シオンからはか弱さが全く感じられない。

 あの時も、闘争本能を揺さぶられるように感じた。

 やるかもしれない。

 そんな、予感めいたものがあった。

 そうは言っても、何しろ試合を控えていた。

 シオンのことは、すぐに忘れてしまったんだ。

 それがまさか、こんな所で出くわすとは…

「ただの物好きじゃ、なかったわけだ」

 ラフはほぼ出来上がりだ。

「しかし、俺に勝てると思ってるのか」

 目は合わせない。

 シオンも、意図してかこちらを見ない。

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