労働の価値 その2
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この農家では、
自分のところで使う農作物も、
生活につかうこまごましたものも、
自分で作って暮らしている。

ここで作られる品々は、
家族が作ったものなのだ。

こうした作ったものは、
どれも、
交換されるためのものではない。

野菜や布はそのままで、
その家族のなかで役立てる。

これらを作るための、
「畑仕事」だの、
「織りあげる作業」だのは、
いつのまにか分担されて、
家族で行う作業なのだ。

作業をするのは男か女か若いか年寄りか。

あるいは季節はいつかといったような自然の条件。

こういったことから、
だれがなにをどれだけやるか、
自然に決まる。

しかし、
ひとりひとりの働く時間、
どのくらい働くかということは、
はじめから、
家族のあいだでの決まりごとになっている。

というのは、
ひとりひとりの作業があわさって、
家族の作業になるからだ。


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