労働の価値 その2
--- 10-5 ---

ここでは自分たちの作ったものは、
商品、
つまり「価値」と考える。

そう考えながら、
そのときその場所のひとたちは、
ものを作っているわけだ。

めいめい勝手に労働している。

そして、
そうやって作られた「商品」を通して、
ひとりひとりの勝手な労働は、
ぜんぶが同じな「労働」とされ、
つながれ連ねられているのだった。

こうしたひとたちにとって宗教は、
キリスト教がいちばんあう。

というのは、
キリスト教は、
人間ひとりひとりの違いを切り捨てて、
そうして作ったぜんぶに同じな無色透明の「人間」を、
拝んでいるからだ。

そのなかでもプロテスタントは、
いかにもお金持ち向きの宗教になった。

「奇跡を信じない宗教」というのも、
商品を作るのにふさわしい。

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