先生がくれたもの~運命に導かれて~


「いえ、オレも最初はそう思いました。そして、今でも難しいと思ってます。だけど、笑顔で病院を去って行ってほしいんです。」


「私…自分がすべき事に気づきました。ありがとうございます。」


「とんでもない。こちらこそ、改めてその事を確認する事が出来ましたので。」


「それで、小西先生、」


「何か?」


「あの覚えていらっしゃいませんか?」


「覚えてって、何を?」


「あ、いえ、いいんです。では私はこれで。」


そう言って森上響子は医務室を出た。


オレは森上響子が何を言おうとしたか見当がつかなかった。


だがそれはすぐに、オレの中でどうでも良い事になってしまった。


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