先生がくれたもの~運命に導かれて~
「さぁ、そこは水無瀬さんがご家族と一緒にこれから探してもらわないと。」
…
「そんな、困ります。あたし、…もう何時死ぬか分からないんです。」
「分かってるよ。」
「なら!」
「だけど、病院だって困るんだ。手術もタダでは無いんだよ。特に君の手術は高くてね。」
「…」
分かってる。
あたしの手術は世界でもまだ一度しか成功していないし。
だけど…
「そういうわけで、すまないね、本当に。じゃあ、お大事に。」
そう言って院長はスタスタと病室を出た。
中身がからっぽの「お大事に」が、胸の中で繰り返された。
あたしには、その後ろ姿を見続ける事しか出来なかった。