先生がくれたもの~運命に導かれて~
小百合お姉さんは、院長を説得しようとしてくれた。
せめて手術が終わるまでと。
だが、院長が首を縦に振る事はなかった。
「小百合お姉さんは悪くないよ。今まで本当にありがとうございました。」
「そんなの、追い出すって形になって本当にご免ね。」
「全然いいの。それで、あの、小西先生は?」
「…今日はいないの。」
「そう、なんだ。」
「うん。」
「小百合お姉さん、本当にありがとう。あたし、小百合お姉さんのこと絶対に忘れないから。」
あたしはそう言って頭を下げ、両親の元に行った。
両親は小百合お姉さんに頭を下げた。
小百合お姉さんも頭を下げた。
これが、あたしと小百合お姉さんの最後だった。