先生がくれたもの~運命に導かれて~


出たのはお母さんだった。


お母さんは先生を家に迎え入れるとお茶の用意をしにキッチンに向かった。


その間あたしはと言うと…


「瑠璃は部屋で待ってなさい。」


とお父さんに言われた。


つまり、先生には会えない。


だけど、あたしだってそう簡単には引き下がらない。


先生とお父さんのいる和室の襖に耳をくっつけて、2人の話を聞き入った。


暫くの間、何も聞こえてこなかった。


あたしは自分がいる事がお父さんにバレて、だからあたしが帰るまでこの沈黙を続けるつもりではないかと思った。


あたしはその場を離れようとした。


が、本当にちょうどその時 ―


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