先生がくれたもの~運命に導かれて~
『瑠璃ちゃんの寿命から考えて、残りの生活に特に異常はきたさないかと。』
木場先生はそう言っていた。
だが…瑠璃は自分の運命に打ち勝ったのだ。
そんな今、また瑠璃が1人で何処かに行ったりするかもしれない。
「それにね、あたし最近何か変なの。」
「変って?何処か痛い所とかあるのか?」
「そうじゃなくって、昔の事とか思い出せないの。小さい時よく遊んでた場所とか、昔の担当医の先生とか、いろいろ。だから…」
そこで瑠璃は言葉を詰まらせた。
瑠璃はきっと怖いのだろう。
どんどん自分のことが分からなくなってきている事が。
「大丈夫だよ。」
オレは瑠璃の頭を撫でた。
「最近いろんな事がありすぎて頭が疲れてパンクしてるだけなんだよ。」
「そうかな?」
「そうだよ。不安だったらレントゲン撮ってもらう?」
「…ううん。いいや。多分あたしが疲れてるだけだから。ご免ね、変な事言って。」
そう言って瑠璃は笑った。
だけど、何処か不安そうな笑顔だった。