先生がくれたもの~運命に導かれて~
帰りながら、オレは瑠璃と話していた。
瑠璃の記憶は本当に消えてしまっていて、オレとの事をほとんど覚えてなかった。
オレは今までの事を話した。
出会った時の事、外に行った事、想いが通じあった時の事、…話すのにはたくさんの時が必要だった。
オレはその分ゆっくり車椅子を押した。
「なぁ瑠璃、」
「…」
「瑠璃?」
オレは足を止め、瑠璃の手首を掴んだ。
…
「瑠璃…」
オレはまた足を動かした。
ゆっくり、ゆっくり…
そうまるで、
瑠璃との時が永遠に続いていくかのように。