リビング
「いや、余計な事はしなくて良い。」

翔は教室をライオンが獲物を狙うかのように見回すと、おもむろに一人の男子生徒が座っている席の前へ移動した。


敬は翔に着いていく。金魚のフンだった。

「おい、熊傘の奴またうちのクラス来てるぜ?」

「早く帰れよな」

「あいつ、宮坂といつも一緒にいるけど実は喧嘩弱いらしいぜ?」

「うっそー超キモいんですけどー」


小声でこそこそと悪口を言われている事など、敬は知る良しもなかった。
敬は顔は良いかもしれないが、性格が論外だった。
人をゴミのように扱う。自己中心的な典型的な嫌われ者だった。


「よぉ宗太、何の本を読んでいるんだ?」

宗太と呼ばれるこの少年は、誰とも喋る事なく一人席につき本を読んでいた。

秋葉系な顔の宗太がポツンと一人、美少女の絵がプリントされてある文庫本を読む姿は、とても近寄り難いものだった。




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