リビング
「え……あ…その……」

翔がいきなり喋りかけてきたので焦る。
なんと言っても、博也に残酷ないじめを下し、不登校にまで追いやった張本人だからだ。


宗太は声を震わせながら言う。

「え…と…、普通の本…だよ……」

怯えている宗太の机を無意味に蹴り、追い討ちをかける敬。
当然、気が強くない宗太は予想通りのリアクションをした。


翔は強引に宗太の本を奪いとる。

「あっ………」

「何か文句でもあるのか?」

翔に睨まれた。
宗太はありません、と答えるしかなかった。

周りの生徒達は、何が起こるのだろうかとチラチラ三人の様子を伺っていた。
期待する反面、心配感はあった。
しかし、彼らはただ何事もないように見守るしか選択肢がなかった。


翔に反論するのはまずい…。
宮坂に目をつけられたら終わりだ…。
辛い思いはしたくない…。
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