リビング
チャイムが鳴り、弘人が号令をかけた。
バラバラに適当な礼をする生徒達。それでも授業は終了された。
数学教師も早く終わりたかったのだろう。


今日最後の授業を終えて、教室は一段と騒がしくなった。

廊下にも聞こえる入り交じった声。
廊下を歩く教師にとっては雑音以外の何物でもない。
それでも不思議な事に、他愛なのない雑談楽しんでいる彼らには苦などなかった。


笑顔で騒ぐ生徒は、本当に今を楽しんでいる人間なのだろう。
クールなキャラを装っていても、場の楽しさに敵わずに一緒になって騒いでしまう。それが人間の本能だ。


バンッ!!!っと激しい音が教室の騒音を掻き消し聞こえた。
何人かが気付き、音がした方向、教室の出入口に視線を移した。

笑顔が一瞬だけ途絶えた。が、また笑顔を作り直すと会話に戻った。


「相変わらずうるさいな。ここは」

「そうだな。いっちょ暴れっか?翔」

翔と一緒に扉を蹴り開け派手な登場をしたのは熊傘敬だった。





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