遠くから来た男の子
「それじゃ、君の叔父さんは、子供をさらったりしていないの?」
と、ジャンは聞きました。

「さらってなんかないよ。叔父はとてもやさしい人なんだ。叔父の考えでは隕石のせいで、時空のゆがみのようなものができたんじゃないかって。そこに、いなくなった子ども達がいるかもしれない。必ず自分が助けるって。町の人にもそう言ったのに」

「でも街の大人は信用しなかったのね」と、レムが気の毒そうに言いました。

「あの頃、町の人々は恐怖に支配されていたからね」
と、男の子は思い出すのが辛いというように苦悶の表情を浮べました。
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