遠くから来た男の子
「この辺から、半径1キロを中心に探しているんだ。破へんはすべて銀色だけど大きさはバラバラなんだ。

Rは成長した枝に引っかかっていたし、Wは野ウサギの巣の中から見つかった。
色んな所に散らばっているのさ。

数年で22コ見つけるのがやっとだったよ。残りはもう小さい破へんしか残っていなかったんで見つけるのが大変になってきていたんだ、

だから、今日見つかったのは運が良かったよ。森はこの辺りをもうだいぶ回ったから、最近は川を中心に探していたんだ…」


その時、ピピピッとレムのケータイが鳴りました。

「あっママからだわ。もしもし」

「レム、ごめん。帰り少し遅くなるわ。レストランの予約はしたからね」
と、お母さんは申し訳なさそうです。

「うん、ぜんぜん平気よ。ゆっくりどうぞ」

「ゆっくりって、何だか変ね。リズやジャンもいっしょにいるの?」
と、お母さんがいぶかしげに聞きます。

「えっ・・ええ、そうよ。自由研究の課題やるのに外に出ているの、もう切ってもいい?」

お母さんは、なにか言いたげな様子で
「そう?森の奥には行かないでね。じゃあ後でね」と、言いました。

「わあ、ビックリした」レムがケータイを切ると

「心配してくれる人がいるっていいね」
と、男の子がぽつっとつぶやきました。

「そういえば、君は長い間家族に会ってないんだ」
と、ジャンが気の毒そうに言うと

男の子は「うん」とだけ言いました。
< 25 / 58 >

この作品をシェア

pagetop