遠くから来た男の子
レムが家に着くと、お母さんはもう帰ってきていました。

「あら遅かったわね。お母さんの方が後に着くと思ったのに。どこ行ってたの?」

「うまく説明しろよ」
と、カルロがそっと耳打ちしました。


「自由研究の材料探しに、森の方まで行ってたのよ」

「ふーん、そう。丘の家には近づいちゃだめよ。魔物が住んでいるから」

「はーい。わかってます」
『今までその魔物君といたって言ったら、ママどう思うかしら』


学校では優等生なレムですが、この日はちょっとした冒険の後で気持ちがウキウキしていました。ですから、楽しみだった映画の最中も、宇宙船の破へんのことばかり考えていました。

ジャンとリズもまったく同じだったようです。ただ、留守番をさせられたトーテだけは「おいしいバターケーキが食べたかった」と、言ってふくれていたそうです。
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