遠くから来た男の子
「リズの家ではお行儀良くするのよ」
と、お母さんは、やさしくレムにキスをしました。

「大丈夫よ、夏休みの宿題もいっしょにする予定なの」と、さっさとお母さんを仕事に送り出し、自分もリズの家へと出発しました。

『最近お母さんにうそをつくことが多くてイヤだな』と心が痛みましたが、
『今は男の子を故郷の星に帰すことに集中しなきゃ、それが無事に終わったら、今の何倍も良い子になろう、家の手伝いもたくさんしよう』と心にちかいました。 


夜の森は想像していたよりもはるかに恐ろしいところでした。ザワザワと木々の震える音が、真っ暗な闇に何重にも響きわたります。時折、ガサガサと何かが動く物音や、不気味な鳴き声もします。

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