遠くから来た男の子
「わたし、こわい」
と、レムが震え声で言いました。

「わたしだってよ」
2人は、ぎゅっと、手をつなぎ、一歩一歩、確かめるようにして、前に進みました。男の子がくれたメガネのライトの明かり求め、次々と虫が集まってきました。

「うわーいや、あっちいけ気持ち悪いわね!」と、リズが虫をはらうと
「ちょっと、そんなに叩かないで下さいよ」と、後ろから声がしました。2人が飛び上がって振り返ると、あのパナマ帽の紳士が立っていました。

「こんな夜に、子供だけで森をうろつくのはぶっそうですよ。昼間慣れたところでも暗くなれば、道に迷うものです。まして、森の中ならなおさらです。昼とはちがいますよ。丘の家までお連れします」と言い、腹をパンパンにふくらませ始めました。

2人は今までのこわさが安心に代わり、ホッとした気持ちで、球体に揺られていました。
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