遠くから来た男の子
「子供たちを守ろう!」

ある晩、大人たちが町の集会所に次々と集まりました。
どの顔も恐怖と疲労でゆがんでみえました。

「あの大男が来てから子供たちがいなくなるようになった」という声がどこからともなくあがり、よそ者なうえに不気味な大男のしわざだと決めつけました。

そしてあげくのはてには、さらった子供をみんな食べてしまったという
話まで流れだしました。


怒りと恐怖で、頭に血がのぼった大人たちは、残った子供たちを守ろうと、ある雨の激しい夜、丘の家にいっせいに押し入り、眠っていた大男を棒で何度もなぐりつけたのです。

いくら大男でも、寝込みを襲われたら、たまったものではありません。


それがもとで大男は病気になり、まもなく死んでしまいました。

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