遠くから来た男の子
「なんだか、難しくってよくわからないわ。そうよ、ただ、私たちはすごく、すごく楽しかったんだから」と、レムが泣きじゃくり始めました。

男の子はレム、リズ、ジャン、トーテを次々とやさしく抱きしめ、静かに微笑むと、宇宙船の中に消えてゆきました。男の子と大男を乗せた船は、ゆっくり上昇しはじめました。

「さよなら、また絶対こいよ!約束だからな」と、ジャンが力一杯に叫びました。

「さよならーさよならー」

宇宙船は、ちらちらと落ちてくる白い雪を舞上がらせながら上昇すると、やがて目もくらむような青白いせん光を放ち消えました。  

「行っちゃたな…」と、ジャンがつぶやきました。
 
レムは、世界がガタガタといって崩れそうなくらい悲しくなり、しばらく、地面にペタリと座り込んでしまいました。

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