Crazy heart!
夜。

「お前らあ!眉毛、ちゃんと整えて来ただろうなあ!?」

「ウッス!!」

「…ウッス…………」

なんで掛け声、ウッスなんだよ…

昨日まで、ウッスどころか、誰も返事なんかしなかったじゃねえか

「おいクレイジー!お前ネクタイ緩んでるじゃねえか!!」

「……ウッス」

…俺、ネクタイしてねえんだけど…

カラン コロン……

ドアが開く音がした。

…来たのか。

「こんばんはあ、ホストの皆さん~」

間延びした声で挨拶をしたのは、キャバクラの店長だった。

店長と同じくらいの年齢だ。

キャバクラの店長は想像していたより化粧は薄く、無駄のない化粧だった。

源氏名を「お雪」と名乗った。
…江戸時代かよ。


「初めまして、サキです」

次に挨拶したのは、店長の隣にいた女。最初に挨拶する辺り、あいつが人気No.1なんだろう。

「…?」

あのサキさんとかいう女、どこかで見たことがあるような…?

「………あ」

「どうしたクレイジー?知り合いでもいたか?」

隣にいた9位のやつが話し掛けてきた。

「…いや…」

あの暗闇の中でもよく映える白いドレス……

前に店長にハンバーガーパシられたときに、ぶつかった女だ…。

隣のキャバクラで働いてたのか…

「…………」

でも…、
なんだろう、それ以外にも、なんか見覚えが…………

じっ、と見ていたら、サキさんと目が合った。

サキさんは、俺を見て、ニコリ、と笑った。

いや、ニコリ、というより、ニヤリ……

「…………!!」

思い出した!!!

「…な、ななな、なんでここに………!!」

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