この空と、私の翼<短編>

赤い財布

私は今27歳。独身…彼氏はいません。
仕事が彼氏の、そんな私にも好きな人がいました。

今は、会えないんですけど…彼と会ったのは四年前でした。




「ヤバ!遅刻だぁ…何で目覚まし止めて、二度寝したゃったんだろう」

私、村井 李衣(リエ)は寝坊して今、走っています。

派遣で事務をしています。

そして、あと少しで会社に着く途中で…


「…きゃっ。」

いたい…。私ってば何やってるんだろう。
こんな何もない所で、転ぶなんて、恥ずかしい。


道に散らばった、荷物を慌て拾っていた。

「…はい、財布。大丈夫だった??
あっ!足から血がでてるよ」

そう言って私の財布と、ハンカチを差し出してくれた。

それが私と彼の出会いでした。

とても優しくて、しっかり者の彼。そして笑うと、ちょっとカワイイんです。

「ありがとうございます。わざわざ拾ってもらっちゃって…あぁ〜ヤバイ。会社に行かなきゃ」
< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop