生きる意味
そこには、俺と同じくらいの男がベンチに膝を抱えて座っていた。どうやら、読書をしていたようだ。しおりを挟み、パタンと本を閉じた。

髪は元々なのか、それとも染めたのか、綺麗な茶色だった。

男はにっこりと、俺に笑いかけた。


「今、『笑うと女みたい』って、思った?」

「別に良くね?」

「全然。馬鹿にされるから、コンプレックスだよ」

「俺は悪く思わねぇけどな」


俺も、歯を見せて笑った。
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