キミと僕の記憶


あの頃よりずっと大人っぽくなったセンパイを、ドキドキしながら見つめた。



水泳部の順番が回ってくると、センパイはマイクの高さを調整し、コホンと咳払いした。



「入学おめでとうございます。水泳部3年の麻木です。
水泳部は去年インターハイ出場者を5人出しました。
一見個人競技ですが、練習はみんなが協力しあって行います。
ただ記録や上位を目指すだけじゃなく、泳ぐことに楽しさを見つけて欲しいです。
入部はカナヅチでも構いません。毎年いるので気兼ねなくどうぞ…以上です」



淀みなく言い終わると、マイクを元に戻した。



気のせいかな

カナヅチでも、と言った時

私の方を見てた気がする。




私は泳げないんだ…。



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