キミと僕の記憶



「藤井美月  水泳部……」と。

出来上がった入部届けを二人で満足げに見せ合った。




その時

「水泳部!?」

突如頭上から素っ頓狂な大声が響いてきた。


仁科だ。


私は紙を素早く裏返すとキッと睨み上げた。


「勝手に見ないで!」



仁科は意に介さず入部届けを机からひったくる。


コイツ!
何で常にこんなに自分勝手なんだろ?



「へえ〜、加藤さんも一緒?……でもさ、美月ちゃんは泳げないでしょ?」




え?




用紙を取り返そうとした私の指が、空気だけを捉えてピタリと止まった。


何で知ってるの?
コイツ……



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