キミと僕の記憶



じろり、と冷たく見据えるが仁科はニコニコするばかり。



入部届けを奪い返すとファイルにしまい込んだ。


「確かにあいにく私は泳げませんケド、あんたが話すような前世のせいではありませんから!
それにマネージャーだから泳げなくてもいいの!
麻木センパイだってそう言ったでしょ?」



「麻木センパイ?」


仁科が怒ったように顔をしかめた。



言ってからしまったと後悔した。

こんなヤツに麻木センパイと私の話をしたくない。



「誰、麻木って?あの壇で話してたゴツい男?」



カッチーン!



話を逸らしたかったのに聞き捨てならない悪口につい反応してしまう。



「あんたみたいな犬顔に言われたくないから」


「いっ、犬!?」



私達のやり取りに紗絵子が吹き出す。


笑い事じゃないよ!
私達の麻木センパイを悪く言われてるんだから!




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