キミと僕の記憶
「――そっちがいらないなら男子のマネージャーに貰うよ」
背後から麻木センパイの声がした。
「!」
驚いて振り返ると、麻木センパイが反対のプールサイドからやって来ていて、私の隣に立つとまた頭を撫でた。
ゼ、ゼンバイ〜〜!
完璧私の目から涙が流れた。
「ちょっと!勝手にそんなもの作らないで!中学の後輩だからって伝統を破るつもり?」
芹沢キャプテンがセンパイに噛みつく。
「伝統ってなんだよ、単にやってくれる子が居ないから、作りようが無かっただけだろ?
実際試合の時に、選手でもあるオレらが裏方まで引き受けたせいでタイムが落ちたこともある。
マネージャーは必要なはずだ。」
麻木センパイは熱くなることなく、冷静に反論する。
それはまるで中学の時に、私が選手のみんなの代わりにやっていたこと――
エントリーやタイム記録や着替えの管理なんかを
ちゃんと麻木センパイが認めてくれていた、と伝えているようで……
私はまた涙が出た。
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