キミと僕の記憶



日が殆ど暮れかけた頃だった。
ジャリジャリと足音が近づく気配に私は顔を上げた。




「藤井〜!やってるか〜お疲れ様!!」




足音は麻木センパイだった。




「センパイ!」



救世主を見たような気分に、私は感激の声を上げた。




「ごめんな〜!まさか1人で大掃除やらされてるなんて驚いたよ」




麻木センパイは心底申し訳なさそうに両手を合わせた。


やっぱりセンパイは知らなかったんだ……



「大掃除なんて毎年みんなでやってんだよ。
芹沢のヤツ、あんなに反対しとおいて使える子が出来ると丸投げなんだもんな!」



センパイが代わりに怒ってくれるだけで、嬉しくて不満なんて飛んで行ってしまう。



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