キミと僕の記憶
「センパイ……それでわざわざ戻ってきてくれたんですか?」
「わざわざって…当たり前だろ!1人でやれるワケねーし、部長だし?
こんな重労働女の子に押し付けらんないしょ!」
まだ練習で濡れたままの髪にセンパイはタオルを巻いて頭の後ろで結んだ。
私を真似てジャージをまくる。
私は気づけば洗剤や泥だらけで、髪の毛も風に煽られてスゴい格好だったんだ。
なりふり構わず掃除してたのに、急に現れたセンパイに驚き過ぎて、そのまま話をしてしまったけど、かなり恥ずかしい……
センパイは私のみすぼらしさに引いた様子も無く、ブラシとバケツを持ち上げ反対側へ歩いて行った。
「そっちは藤井が担当な!で、サイドが終わったら今日は終了な?明日プールの中は全員でやるから!」
早くも水を撒き始めたセンパイが大声で叫ぶ。
それじゃ芹沢キャプテンに怒られる…と思ったけど、悪口みたいになるのが嫌で私は頷いた。
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