キミと僕の記憶



もしかしたら道具を取り返されて、退部させられるかも知れない――


そんな最悪の事態も想像したけど、先輩達は無言で立ち去って行った。




やがて私がブラシを動かす中、ピッピッとストレッチ中の笛が聞こえてきた。



私は何とか許して貰おうと、急ピッチで掃除を進める。


陸上での練習は30分程度のストレッチが終わると、3キロの走り込み、そして筋トレへと移行する。


その間に何とか終わらせて、水張りまでやればきっと事態は収まる筈――



排水溝のぬめりとカビに四苦八苦し、まだ冷たい水に体を冷やしながら一気に掃除を進めた。




そして――――
やっと勢いよく水が流れ出した様子を、ホッとしながらプールサイドから眺めた。



部員はそろそろ練習を終える時間だった。



水が7割ぐらい入った所で消毒剤を投げ込んだ。


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