キミと僕の記憶


その時背後からガヤガヤと人がやって来る気配がして、私は練習が終わったんだ、と思い振り返った。



でもプールサイドに入ってきたのは部員全員ではなく、芹沢キャプテンとさっき私を取り囲んだ数人の先輩達だけ――



「どうやら、終わったみたいね」


すでにジャージから制服に着替えているキャプテンが言った。


「はい……終わりました
スミマセンでした」



「もう部員は練習が終わったから解散したのよ
私達は藤井さんがサボってないか確認しに来たの」


ねえ?
とキャプテンが取り巻きに同意を求めると、全員が頷いた。


サボるなんて…
あの状況でする訳ない。

私が逃げて辞めることを期待していたんだろうか?


それに…
紗絵子達や男子の他の部員が誰も来ない――

キャプテンや先輩達に本格的に何か言われたりする前に、さっさと退散した方がよさそうだ。



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