キミと僕の記憶
「えと、掃除は終わらせましたし水を止めて帰りますね。
今日は本当にスミマセンでした!」
ばっ!と勢いよく頭を下げると、蛇口へ向かって回れ右をした。
「ちょっと!待ちなさいよ!」
逃がさない、とでも言うようにキャプテンが呼び止めた。
「――ハイ…」
内心げっそりして、その場から動かず首だけを回した。
「階段の手すりに藻が残ってるわ!
ここよ!
明日でいいから、ちゃんとキレイにしてね?
手すりが汚れてるのは危険なの!」
キャプテンは手すりを指差していた。
え?
あ……
確かにそこには目が届かなかった。
意外にちゃんとした理由だったので、私は手すりに近寄り汚れを確認しようとした。
キャプテンの指差した所を覗くと、プールサイドから見ないと分からない手すりの裏側に、藻がついて水に浮いていた。
うっ
やっちゃった…
でも明日でいいなんて、キャプテンも許してくれたってことかな?
私は姿勢を戻し、とりあえずまた謝ろうとした時だった。
とんっ……
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