キミと僕の記憶





「――じゃあ、今日はホント色々ありがと!」

体調を心配する仁科に送られ、家の玄関を閉めるまで見守られた。


狭くなっていくドアの隙間から、ずっと手を振る姿が見える。


思わず笑いながら私は靴を脱いだ。



「ただいまぁ!」


決まってママがキッチンから出てくる。


「お帰り。
――美月、何か髪の毛濡れてない?」


目ざとく見つけ頭を触られた。


「うん……
プール掃除中に落ちちゃって、悪いけどこれ洗濯して?」



2つのジャージを渡すと怪訝な顔をされた。



「借りたの。
青いのは同じクラスの子から。
私のは消毒臭いから別にしてね」


言いおいて私は部屋に荷物を投げ込みお風呂へ向かった。


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