攻防戦‐KisS
「うぐっ」


そして、反省したのもつかの間、
私は再び拳で語ってしまったのだった。


「ご、ごめんね?だって透が変なとこ触るから…」

「…今度の日曜、陽乃のおごりで一緒に映画観に行くから」

「ええ!?」


みぞおちを押さえながら、透は体を離す。

その日は用事があると断ったが冷たく却下された。

大事な用事とどう折り合いをつけるか、どうやったら安全に透の機嫌を直せるのか考えるのに精一杯で、

私は気がつかなかった。











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