攻防戦‐KisS
「もうここで良いか」


そこは東屋。

少し雨漏りがあるが、屋根があるだけマシかもしれない。

突然の雨に、もう公園を出て建物に入る距離も走る気はしなかった。


「うわぁビショ濡れ…止むのかなこれ」


不安そうに空を仰ぐと前髪が張り付く。

最悪なデート。


「わお」


私の鎖骨あたりに人差し指を押し付ける透。

じっとりした感触。

見下ろすと、ブレザーの下のワイシャツがほのかに肌色になっている。


「透けてるー」


顔が熱くなった。


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