攻防戦‐KisS
たった15分のために30分も待っていたのか。


「なんで」


その行為に甘え、思わず口走ってしまった。


「なんでキスしたの」


吹奏楽の音にかき消されないか不安なくらいの震える声で。


透が黙って近寄ってくる。

後ずさる私。


距離が縮まらないと分かると、足を止める。


「私のこと好きって言って」


今日一日中、後悔していた。

はっきりとその言葉を聞きたかった。


他の女の子に話しかけて欲しくない。

他の女の子に触って欲しくない。
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