短い夏休み
大きな歓声の中に私はいた

ここはベンチだろうか

部員のみんなは私の前に立ち

大きな声を出して試合を盛り立てていた

その先を見ると

憧れていた甲子園球場があった

マウンドを見ると

樹が立っていた

樹が振りかぶって

腕をしならせながらボールを投げた

相手チームのバットは大きく空を切り

ボールは将太のミットに入った

歓声一段の大きくなった

私も思わず声を出して喜んだ

よく聞くと歓声以外の音が混じっている

私はそれに聞き耳をたてた

一定のリズムで鳴り続ける音

私は手探りでそれを探すがここにはなかった

私は起き上がろうとしたが、体が思うように動かない

机の上で眠ってしまった

体の節々が痛かった

まだ動かない体を無理やり動かし、私はやっとの思いで目覚まし時計止めた

ぴったりの時間に鳴り続けていた

私は一つ息をつくと痛い体を少しずつ動かした

背骨が特に痛い

私は大きく仰け反ると

ノソノソと階段を下りて洗面所で顔を洗い体に朝を知らせた

台所ではお母さんがお弁当の準備をしていた

私はリビングのいすに座り、朝ご飯を詰め込んだ
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