赤い半纏

懐古


時雨は止んだと思った。でも、まさかのまさかでもう一度降ってきた。
どうやら村時雨だったらしい。

ハンカチだけの私はすっかり頭からつま先までびっしょり濡れて、家に帰ってきた。

「あらら、すっかりびしょぬれ。唐傘はどうしたの?」

「通りすがりの人が困ってたので、貸してきました」

「そうなの?良いことしたのね。でも、あなたが風邪をひいちゃだめよ。拭いてからほっとみるくを飲みなさい」

母から差し出されたタオルをで顔を拭って、自分の部屋へと向かう。

私の部屋は、一番奥にある和室だ。
和室といっても今はドレッサーとかスタイリッシュな学習机が置いてあるので、和という感じはあまりしない。
寝るところも普通に布団だ。

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