赤い半纏

今日は布団は敷きっぱなしだった。
おそらく、忘れていたのだろう。いや、おそらくじゃなくて忘れてたから敷きっぱなしなんだ。

布団に寝転がると、やわらかい羽毛布団が私を出迎えてくれる。
濡れた服がくっつくこともおかまいなしで、周りを見渡してみると一つのアルバムが目に入った。

アルバムといっても、この家の歴史を表した資料のようなものだ。写真もあるが、難しい文章が入っていたり「規則」だとかなんだとかもある。

私の周りの徳大寺の血を引いた者は、みんなここを去っていってしまった。

生きた者は、都会に新しい家を建てて家族と新しい環境を生きている。
死んだ者は、地中の奥深くに。

本家の血筋の私と母だけはまだ、ここに住んでいる。
もっと正確に言えば、父が血筋を引いていてその嫁さんが母なのだが、父は六年前に行方不明になってしまった。
お父さんの方のおばあちゃんとおじいちゃんも、死んでしまって、もういない。
ここでは、おばあちゃんが本家の血筋の人。
おじいちゃんは外人だったらしくて、私のほんのり薄茶色の目はアルバムで見た写真のおじいちゃんに似ている。

髪も茶髪だったら可愛かったのにな・・・。
私の髪は真っ黒だ。よく母に「烏の濡れ羽色」と言われるので、悪い気はしないけど。
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